サンドブラストを使った工房の店長日記 店長は「砂の錬金術師」 ガラス・木・デニムetcの素材をデザイン している工房です。
砂の錬金術師
コンプレッサーの容量
2008-07-05-Sat  CATEGORY: サンドブラスト
サンドブラストマシンには大きく分けて「直圧式」と「吸い込み式」が
あります。
どちらも同じくらい単純な構造なのですが、一般的には吸い込み式
が多く販売されているようです。
どちらも使用したことがありますが、現在は直圧式しか使用していま
せん。
理由は「パフォーマンス」が優れているからです。
簡単に言うと、吸い込み式の1/3の空気量で2倍以上の彫る力が
あると思われるからです。

本日は、わけがあって吸い込み式のシュミレートをしてみました。

2008070501.jpg

直圧用の1.8mmノズルが削れたもので、4mm径になったものを使
用して0.1Mpsで板ガラスを彫ってみると、なかなか彫れません。
4mm径から噴出する空気量はかなり大きく、ウチのベビコン0.75馬力
だと、5分の連続使用で圧力が半分の0.05Mpsまで落ちて安定します
が、この圧力だと何も削れません。
で・・・コンプレッサーに空気が溜まるのを待つために、3分間作業を中断
します。
仮にサブタンクを付けても、5分が8分になる程度で、あまり改善にはなり
ません。

結果として体感ですが、直圧式だと5分で終了する作業に、吸い込み式
だと25分かかるようです。
しかも彫れる深さは1/2程度ですので、比較すると1/10の仕事量し
か出来ていません。
これは・・・・・・・困ったことです。

逆に、写真彫刻やキセガラスの段彫りに関しては、吸い込み式の方が
かなり細やかな微調整が出来て有利だと思います。
しかしそれ以外には、直圧式でないと効率の良い仕事は出来ないよう
な気がしています。

シュミレートをしていて、昨年参加したP社のセミナーでの事を思い出し
ました。
P社の方が「日本でも有名な、サンドブラストのプロです」と言って紹介
した I さんは講演の中で盛んに吸い込み式を奨励していました。
「直圧なんかでは、プロの仕事はできませんよ!」と言っていた事を鮮
明に覚えています。

私が今やっているサンドブラストの仕事は、アートでも芸術でもありませ
ん。
工芸の仕事、つまり「職人仕事」なのです。
「キセガラスがとてもきれいですねえ」とお客様からお褒めを頂くこともあ
りますが、これは輪島や会津の塗り職人さんが良い仕事をして評価され
るのと同じことだと思います。

どの業界の職人さんも仕事の重要な要素として「スピードと正確さ」を挙
げます。
正確さ(完璧)を追求するがあまり、一日一個しか作れなければ、塗りの
職人さんは、生活が成り立ちません。

「吸い込み式はプロのブラスト機器だ!」と言い続ける人たちは、いった
いサンドブラストの事を、どれほど理解出来ているのか、改めて疑問に思
った、今日の出来事でした。


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